No.29 伊那食品 其の2『つまるところ商品力』
会社の本来の目的は、給料をたくさんもらって皆が幸せになるためにあるのだから、『人件費はコストではなく会社の目的そのものだ』。だから利益は「うんこ」程度にすぎないという伊那食品の塚越会長。それでも48年連続増収増益の驚異的な業績を誇る。
ここまで言いきる伊那食品の儲かる秘密は、なんといっても商品力だった。全社員450名中、新商品の開発になんと約1割の50 を配置、3年後に投入予定の確実に儲かる新商品もすでに開発済で、3年後の業績もだいたい見えているとのこと。毎月の試算表などはあまり見たことがないそうだ(笑)
本社かんてんぱぱガーデン内にあるおみやげ屋さんには、寒天で作られた商品が200~300種類ところ狭しと並べられ、新商品が次から次へと投入されている。寒天を完全に舐めていた・・・、まさか寒天であれだけ豊富な商品群をつくれるとは思ってもみなかった。
塚越会長の「いい会社」をつくるための十カ条の第一カ条は「常にいい製品をつくる」ことだ。
○あなたの現商品は何年前から売っているものか?
○あなたの現サービスはいつからその形態か?
○あなたの現業態はいつからその形態か?
○商品やサービスや業態の開発担当者は誰か?
この質問に、5年前から依然として何も変わっていないという答えが返ってくるようなら、塚越会長から「それでは儲かりませんね。」という声が聞こえてきそうだ。
事業経営の原理原則は3つ
1 商品を開発し続けること、これをやらずして社員の幸せなどと言っても土台ムリ
2 会社のファン(儲けさせてくれる顧客)をどれだけつくれるか
3 稼ぐ社員をどれだけつくれるか
この3つの条件を揃えれば絶対に儲かることを改めて塚越会長から示唆いただいた気がした。
中小零細企業の場合、商品・サービス・業態の開発は、ほぼ社長がやらなくてはならないから、日々の繰り返し仕事に埋もれている暇はない。その点では、アベノミクスに一喜一憂している暇もない。