No.30 リスケ企業救済に405億円の補助金

金融円滑化法のもと返済条件の緩和を受けた企業の倒産が、2012年度は前年比73%増えたと報じられている。倒産というのは、通常借金が返せなくなって起こることだが、円滑化法の適用を受けた、いわゆる「借金を返さなくていい」企業の倒産が増えているというのは尋常ではない。

現在円滑化法の適用を受けている企業は45万企業あるといわれているが、その内2/3の30万企業は、再建できずに消えていくというのが大方の見方だから、近いうちに世の中から1割の企業が消えていくことになる。今調子のいい会社も、取引先の1割が消えれば、売上の1割を失うことになるから、人ごとではない。

さて、そんな円滑化法がこの3月に切れた。「円滑化法が切れても安心してください、急に返済を迫ったりすることはありませんよ。」というのが一応の対応だが、本当にそうだろうか?銀行だって人の子、この会社危ないと思えば、我先に回収に走るのは必然ではないか。仮に5行から融資を受けているとして、そのうち一行でもフライングすれば、横並び意識の強い業界だから、基本全行右へ倣えということになるだろう。

前置きが長くなったが、これを防ぐには、銀行の同意を得て経営改善計画書をつくり、定期的なモニタリングを報告することが、今のところ最善の方法といえる。貸出先が要注意先や要管理先に落ちても、3年~5年後に黒字化し、資本の毀損も回復することを銀行に納得させられる計画書を提出すれば、債務者区分を下げなくてもいいことになっているからだ。

今回、この経営改善計画書の作成費用に対して、国が2/3、最大200万円まで助成してくれる制度ができた。予算にして405億円、2万社を対象にしているようだ。現在リスケ中の会社はもちろん、借金が多くて気合いを入れて事業を「改善」したい会社は、ぜひ活用されたらいいと思う。

ちなみに改善計画の必須条件は、以下の2点になる。

一、概ね15年以内に借金完済なるか
二、概ね5年以内に実質債務超過解消なるか

経営改善計画は、「実現可能性の高い、抜本的な計画」でなければならないから、別名『実抜(じつばつ)計画』などとも言われているが、くれぐれも「実現可能性のない骨抜きな計画」にならないよう注意しなければならない。

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