No.24 借金で借金を返す愚

社長:「先生、今期は利益が1,000万円ぐらい出そうだから、節税のアドバイスをしてください。」
私:「社長の会社は、工場の土地建物を自前でお持ちですが、もし借りているとしたら家賃の相場はいくらぐらいでしょうかね?」
社長:「月100万ぐらいかな?」
私:「じゃーほんとは200万の赤字ですね。」

以前この連載でもお話しましたが、借金で土地を所有した場合、家賃として払う金額のだいたい1.5倍程度の利益が出なければ、借金を予定どおり返済することはできません。こういう会社は、だいたい土地建物を買った当時の借金が、十数年たった今でも「運転資金」という名前で残っています。
土地を自前で調達していない場合でも、決算書の貸借対照表の負債の部に記載されている「一年以内返済長期借入金」という科目を見て下さい。この金額は、来期1年間で銀行に返済する元金です。  仮に1,000万と載っているとしたら、税金を半分とすると、来期2,000万利益が出て約定どおり返済、それ以下ならどこかで折り返し資金をお願いすることになります(減価償却も返済原資になります)。
せっかく出した利益を節税という名目で「浪費」すれば、借金が減りませんから、結局あとで利息を余分に払うことになるだけですね。

国のほうでは、消費税率の引き上げで盛り上がっています。5%を基準に増税するか否かとやっていますが、そもそもこの議論おかしくないですか。
900兆ある借金を何年で返すか、そのために必要な税率は何%かをゼロベースで考えなければ・・・。
事業経営は、①借金を予定どおり返済するための利益はいくらか、②あまりデキのよろしくない息子に5年後事業を引き継がせるために、内部留保(執行猶予(笑))をいくらやるか、③リーマンショックや円高でいくら損したか?これから先もないとはいえない・・・

こう考えると、儲かっていない事業を野放しにしてやり続けていたり、節税目的で無駄な「浪費」をしている場合ではない。本来うちの会社は、どれだけの利益が必要かを考えれば、相当の利益が必要なことが見えてくるはずです。

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