No.18 土地建物は買うべきか、借りるべきか

「今、月に50万円の家賃を払っているけど、このまま払い続けるのはもったいないから、思いきって土地を買おうと思う。月々の返済もちょうど50万円ぐらいだから資金繰りも大丈夫、銀行も貸してくれるって言っている。」・・・よくある話です。でも家賃の50万円と返済の50万円とは本質的に違いますね。

土地の値段は1億円、20年で借りると月々の返済はちょうど50万円になります(説明の便宜上、上物は安いプレハブを自己資金で購入、50万円は全額元金返済)。家賃を払っていた昨年の業績はトントンでしたから税金もゼロでしたが、土地を買った今年、昨年並みの業績だったとすると、利益600円の約40%、240円税金でもっていかれます(昨年まで家賃として払っていた50万円×12ヶ月=600万円が、借金の返済のため経費にはならない)。家賃として払っていれば年間600万円のおカネで済んでいましたが、土地を買うことによって600万円+240万円=840万円のおカネが要ることになります。これを20年もやれば、税金だけで5,000万円近く余分に払うことになります。

もちろん、払い終われば自分のものになりますから、その先の家賃負担はなくなるわけですが、この例でいえば、1億円の土地を買うのに1.5億円程度の支出を予定しておかなければいけないことになります。おまけに、資金繰りに窮して、途中で売りたくなっても、借金の残より土地の値段の方が下がっていますから、担保を外せないので売れない。一番の問題は、市場環境の変化によって規模の縮小や拡大に踏み切ろうと思っても、常に「制約」がつきまとうことになります。

個人の住宅ローンの場合は、家賃で10万円払うならあと1~2万も出せば自分の家が持てますよ、家賃で10万円払い続けるのはもったいないですよ、という売り文句がありますが、会社の場合は税金が絡んでくるので同じ理屈での比較にはなりません。

企業の目的は儲かって潰れないことです。本社も工場も店舗も、儲かるためにたまたま今必要なだけで、所有することが目的ではありません。

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