No.17 おカネの使い道と人の使い方の変化

平成12年から弁護士さんの広告が解禁になってからは、「債務なしね」とか「一人で悩んでないで・・・」なんていうテレビCMが、これでもかというぐらい流れています。利息の過払いについては最近少々下火のようですが、それでも一番かけた弁護士の年間広告費は35億円というからびっくりです。

大手の法律事務所というと、だいたい小ぎれいなエントランスに、気の利いたところだと受付のお姉さんがいて、中へ入ると完全個室の相談スペースが並ぶ高級感あふれる風景ですが、完全防音のバックオフィスにひとたび入ると、このスペースでは定員オーバーと思えるぐらいのパートのおばちゃん方がごったがえしており、電話片手に債務者と消費者金融との間をルーチンワークのように忙しくこなしているというのが現場の姿です。ある人から聞いた話ですが、「私今までに100人も助けたのよ」とパートのおばさんが意気揚々と言っていたそうです。

名古屋にある大手会計事務所では、顧問先から預かった領収証などの起票はすべて中国で行っているとのことです。月給払っても2~3万の日本語も堪能な中国人が、2~3日で正確に処理してくるそうです。もちろん、中国との橋渡しの役割を担うのは、国内のパートのおばちゃん集団です。 両者の共通点は、生産性の高い仕事とそうでない仕事を切り離し、生産性の高い仕事は資格者(正社員)が、生産性の低い仕事はパート(非正社員)化し、余ったおカネを広告費に使って、生産性の低い仕事をボリュームで補うというビジネスモデルです。人の使い方という意味では、正社員10人にパート100人といった飲食店経営のような感じですね。

同じ士業として、このようなやり方に疑問を感じる先生方は決して少なくはありません。今までは「職人技」と自負していたものが、実はパートさんで十分だった?とは誰も思いたくはないでしょうから・・・。そうはいっても企業に置きかえていえば、生産性を追求するのが組織の使命ですから、「職人技」かどうかの問題ではなく、市場から見た生産性で人の使い方を再構築する時期に差しかかってきたように思います。

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