No.12 ~今こそ社長がビジョンを語るとき~ 【平成23年02月】
昨年秋に今年度春の新卒採用で、某資格の専門学校2社が都内で開催する合同就職説明会に出展し、それを受けて弊社で会社説明会を開催しました。約35名集まった求職者のうち、公認会計士合格者が6名いたことには正直ビックリしました。十数年間採用活動をしていますが、いわゆる町の会計事務所に会計士が応募してくる自体あり得なかったことです。 大手監査法人の監査報酬の値引合戦と想定以上の離職率の低さ(辞めない)で、人を入れる余地がないといったところでしょう。
さて、会社説明会では私の方で会社のビジョンを語り、社員2名が入社後の経験談を伝え、その後集団面接、論文記述試験と約5時間かけましたが、二次面接時に「他の会計事務所はどんな内容の説明会をやっているの?」と聞いてみると、ほとんどが「あなたが入ったらこんな仕事をやってもらいます」という話ばかりで、うちの会社はこんな特長があって、こんなことを成し遂げたいと思っているというビジョンらしき話は全くなかったそうで、うちの説明会はちょっとビックリしたそうです。
こういう先行不透明な時代に、リーダーがなすべき仕事として最も大切なことはビジョンを語ることではないかと思います。社員の最大の関心ごとは一生を通じての生活の安定と向上ですから、この人に自分の一生を預けてみようと思ったときに最大の力を発揮するのだと思います。ひどい社長になると、社員にこの売上げをやらなかったら給料半分だぞと危機感をあおって、社員のモチベーションを上げていると勘違いしている社長も決して少なくありません。気持ちはわかりますが逆効果です。
今の民主党政権に対して、ビジョンがないと批判する前に、まずは足元の自社のビジョンを堂々と語らなければ「国民」はついてこないでしょう。次号では、ビジョンとは何かについて深く掘り下げてみたいと思います。ちなみに今回の採用企画は、どんな人財をとるのかからすべて社員に任せました。採用活動自体はもちろん優秀な人財を確保するためですが、現社員が採用活動を通して、改めて自分は社員としてどんな成果を上げるべきかを考える絶好の機会になるわけです。