No.9 今社長がもっとも管理すべき数字は何か~社員一人当りの生産性を管理する~ 【平成22年7月】

TKCで発表された中小企業22万社の会社データによると、売上高は対前年92.2%、製造業にいたっては86.6%でした。また、22万社のうち黒字企業が前年から5.9ポイント低下して40.4%でした。対前年9割の売上が続くと、だいたい6年間で半分になる計算です。もちろん消え去っていく会社もあるわけですが・・・。

このように市場が縮小していくときに、社長として管理しておかなければならないもっとも大切な数字は「社員一人当りの生産性」です。
社員一人当りの生産性とは、売上げから商品や材料の仕入れ、外注費(変動費といいます)を引いた粗利益を社員の人数で割った数字です。言いかえれば、会社が外で稼いだ利益を何人の社員であげたのか、粗利益÷社員数(役員含む)です。

なぜこの指標が大切かといえば、会社が外で稼いだ粗利益のうち、通常半分以上が給料などの人件費ですから、粗利益と社員数で最終的に利益が出るか出ないか決まるといっても過言ではないからです(粗利益に対する人件費の割合を労働分配率といいます)。

H22年度版 TKC経営指標(一人当り生産性は年間)
一人当り生産性労働分配率
建設業700万63.0%
製造業680万59.0%
卸売業800万53.9%
小売業570万53.9%
飲食業450万51.8%
サービス業580万60.7%

上場企業の一人当り生産性は、製造業でだいたい年1,900万、製造業以外で1,200万ですが、中小企業はひとまず年1,000万、月80万以上を目指すことが大切だと思います。できるできないの問題ではなく、トップが常に1,000万を目指して日々新たな付加価値を考え、人員構成を考えるクセをつけておくことが大切だと思うからです。

逆に業種業態にもよりますが、正社員で事業を行う場合であれば社員一人当り月60万以下になったら、どこをどういじろうと会社に利益を出すことは不可能でしょう。利益が出ないということは会社がもたないということですから、人員を減らし、パート・アルバイトの採用で人件費を変動費化するという人員構成を待ったなしで考えなければならない緊急事態です。

社員一人当りの生産性を野放しにしておいて、会社に利益をもたらすというウルトラCは存在しないのです。

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