No.6 市場縮小経済下でも儲かる社長の考え方・やり方 その2~量の拡大から質の拡大へ~ 【平成21年10月】
マーケットが縮小傾向にあるときに、社長の舵取りとして非常に大切な第一の戦略思考は、「量の拡大」から「質の拡大」へと事業の転換を図ることだと思います
質の拡大などという言葉は世の中に存在しないでしょうが、自社の業務を、横への広がりから縦への掘り下げに変えていくというイメージです。
具体的にいえば、売上がなかなか上がらない時代は誰もが、営業力を強化して、既存の商品を引っさげて新規顧客の獲得に乗り出しますが、これは量の拡大です。減っていくパイを価格競争によって奪い合っても、増えた客があるなら減る客もそれ以上となり、決して長続きはしません。
業績のあまり思わしくない会社の社長さんは、「来月はあの仕事がもらえそうだ」「来月は新規の会社と契約できそうだ」とおっしゃいますが、業績のいい会社の社長さんは、「今うちの商品をこういう風に変えている」「新たにこういうサービスを始めた」「今こういう市場に仕掛けている」とおっしゃいます。前者が量の拡大で、後者が質の拡大です。
質の拡大とは、既存の顧客(特に上位1~2割のAランク顧客)にターゲットを絞り、今までにはなかった価値を商品やサービスにひとつひとつ付加していき、「お宅の商品やサービスでないとうちは困る」というところまで時間をかけて徹底して引き上げていくことです。
一顧客一案件に対する営業ももちろん大切ですが、既存のAランク顧客を顧客群として捉え、その顧客群に本当に喜んでいただけるような商品・サービスを脳みそが腐るぐらいまで考え続けて、自社の社会的有用性を高めていく最も大切な時期ではないか思います。
一時的に売上が減り、顧客数が減少したとしても、いい商品やいいサービス、他ではなかなか手に入らないものが提供されていくと、2~3年のうちに既存のAランク顧客と同ニーズ同レベルの新規顧客が自然と増えていくことでしょう。
それまでは、目先の価格勝負の売上げを営業力で獲得することを捨てても、商品力・サービス力・技術力で勝負するとの社長の決意が、質の拡大へ向けた第一歩ではないかと思います。
営業というこちらサイドの思惑で相手をコントロールし、売上を上げるという操作主義的な発想では、これから益々顧客からの支持を得られることはありません。
営業によって顧客を獲得するよりも先んじて取り組むべきことは、他にはない顧客にとっての付加価値、社会的有用性を「創造」することなのです。
市場での真価が問われる素晴らしい時代を迎えることになりました。