No.1 相手の側から見る ~高付加価値経営による生産性の向上を目指して~ 【平成20年7月】

NO1 相手の側から見る
~高付加価値経営による生産性の向上を目指して~ 【平成20年7月】

日本の一人当たりGDP(国内総生産)は、最近続編が公開された映画「三丁目の夕日」の頃の1960 年当時は、米国のわずか1/5 程度でしたが、その後の高度成長で、1987 年には米国を上回るまでになりました。しかし、バブルの崩壊により2001 年以降は再度逆転され、2006 年には米国の78%まで低下、2020 年には半分近くまで落ち込むと予想されています。
かつては、先進7 カ国で首位だった日本の一人当たりGDPは、OECD加盟国でなんと18 位まで低下しており、生産性の向上が急務です。

こうした状況下で、私たち中小企業経営者は、生産性向上のために今何をすべきなのでしょう。あえてひとことでいえば、現在の商品・サービス・品質・納期などのすべてを「相手の側から見て」徹底的に見直すこと、だと思います。

たとえば、1000個に1個だけ不良品を出した場合、こちらから見ると不良率は0.1%ですから、たいしたことはないと思いがちですが、不良品をつかんだ顧客(相手の側)から見ると不良率は100%です。新宿の伊勢丹では、左右サイズ違いの靴を0.25 刻みで販売し大ヒットしていますが、これもこちら側(売る側)から見ていたら絶対にできない発想です。

相手の側から見るなんて当たり前と思われるかもしれませんが、これは本当に難しいことです。なぜならば、ほとんどの場合、相手の便利はこちらの不便、相手の利益はこちらのコスト、相手の手間いらずはこちらの手間、だからです。

相手の側から見て生産性を向上させるには、こうだったらもっと相手に便利だな、自分が買う側だったらこんなものが欲しいな、自分だったらこういうサービスをされたら感動するな、と純粋に今の商品やサービスを検討し直すことが必要です。

しかし、これだけでは自分のやれる範囲でおしまいになりますから、次にコスト、手間、こちらの事情を一切無視して、相手の側から見た価値、相手の欲求を満たす価値を実現する方法を徹底して考え、かけた手間・コストに対し、顧客に「参った、そこまでやるか」と喜んでいただける付加価値をのせて販売します。

高付加価値経営は面倒くさく、煩わしく、コストがかかりますが、これが他社にはない顧客にとっての本当の付加価値です。こちらの効率を優先すると相手への価値は失われます。事業はいつも相手への効果が先で、その次にこちらの効率があります。

需要と供給のバランスが崩れ、供給が需要を上回る現在、コストを削減していかに生産性を上げるかではなく、顧客の声なき声に耳を傾けて、相手の側から見た自社の存在性、優位性を毎日毎日考えて、その課題をひとつひとつ解決していくことが、生産性を高めていく唯一の方法です。

課題は山積みであればあるほど未来が楽しみになりますね。

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